に投稿 コメントを残す

『いちびる』『いちびり』

【城南京「しだれ梅」(京都市伏見区)】

 「いちびる」は調子に乗ってはしゃいだり、ふざけたりすることを表す動詞です。
 「いちびり」は調子に乗ってふざける人を表す名詞です。

 というわけで、これらはあまり良い意味では使われない言葉です。

HHHH

【意味】調子に乗ってはしゃぐこと、ふざけること

LLHL

【意味】調子に乗ってはしゃぐ人、ふざける人

「いちびる」「いちびり」のアクセントは以下の通りです。
(H:高音 L:低音)
 ※同音が続くのは関西弁の特徴です。
 ※アクセントには個人差・地域差があります。

HHHH
いちびる

LLHL
いちびり

【例文】

そない HHHって、エエ事あったんか?
(そんなにはしゃいで、いい事でもあったの?)

HHHってばかりで、どもならんわ。
(はしゃいでばかりで、どうにもならないわ。)

・あんまり HHHってたら、あかんで。
(あんまり調子に乗ってふざけたらダメだよ。)

・あいつ Hやしな。
(あいつ、お調子者だからな。)

 

 最後に大阪人のおっちゃんが語る「いちびる」の解説をご紹介します。
 言葉の意味と語源について詳しい説明があります。

 ちなみに「いちびってんちゃうぞ」は、「ふざけてんじゃねぇぞ」という意味になり、時と場合によっては喧嘩の売り言葉になってしまうのでご注意ください。

【参考動画】「いちびる」の解説(出典:大阪おっちゃんねる)

 

ほな、おおきに。

Kikujiro

【関連記事】『そない』を見る『あかん』を見る

【本記事の参考文献】
「もっと!もっと!京ことば <春>」
「京ことばの辞典」大原穣子 研究社

目次に戻る【京ことば(京都弁)のページ】




に投稿 コメントを残す

『きばる』

【醍醐寺 五重塔(京都市伏見区)】

 これは励まし、または意気込みを表すのに使える「京ことば(京都弁)」です。
 辞書に記載されている言葉ですが『関西弁』として広く認識されています。

きばる(気張る)

【意味】頑張る
※『奮発する』『力む』という意味もある

アクセントは以下の通りです。(H:高音 L:低音)
※始めから高音が続くのは関西アクセントの特徴です。

HHH
きばる

【例文】
・セーダイHHHH
(精を出して頑張れ)

エライ長いことHHHHLH
(とても長い間頑張ってたね)

・残業なん?HHHHH
(残業なの?頑張れよ。)

・セーダイ、HHHHHHHHHHL
(精一杯、頑張らせてもらいますわ。)

 二つ目の例文のフレーズを丁寧に言うと「きばっといやしたな」となり、けっこう古風なサウンドに変わります。

 ちなみに、『気張る』『気張ります』という言い方はあまりされないようです。

 むしろ『頑張る』『頑張ります』というほうがよく聞きます。

 ですが、例文にある通り『気張らしてもらいます』はけっこう使われます。

 

ほな、おおきに。

Kikujiro

【関連記事】京ことば:『セーダイ』を見る

【本記事の参考文献】
「もっと!もっと!京ことば」 <春><秋><冬>
「京ことばの辞典」大原穣子 研究社
「新版  京都・観光文化検定試験 公式テキストブック」  淡交社

目次に戻る【京ことば(京都弁)のページ】




に投稿 コメントを残す

『いきしな』『かえりしな』

龍安寺の中庭(京都市右京区)

【2023年4月30日更新】

 「~しな」は「~の途中」を意味する京ことばです。
 関西では、とくに京阪地域で使われる言葉になります。
 
 「方言」とか「古風な表現」に思われたりもしますが、「しな」は辞書に載っている言葉です。

HHHH
(行きしな)

【意味】
 行きがけ、行く途中

HHHHH
(帰りしな)

【意味】
 帰りがけ、帰る途中

「行きしな」「帰りしな」のアクセントは以下の通りです。
(H:高音 L:低音)
 ※高音が続くのは関西弁の特徴です。
 ※アクセントには個人差・地域差があります。

HHHH
いきしな
HHHHH
かえりしな

【例文】

仕事のHHHHに人にぉて、喋ってたら遅れてもうたわ。
(仕事へ行く途中に人に会って、話してたら遅れてしまったよ。)

HHHHHに買い物頼まれてくれへん?
(帰りがけに買い物をしてきてくれる?)

 一方、「行きしな」「帰りしな」以外にも、「~しな」という表現は多々あります。例えば以下のようなものです。

【例文】

 ここのHLLに修学旅行の学生はんら、ようけいゃはりましたわ。
(ここへ来る途中に修学旅行の学生さんたちが大勢いましたよ。)

 HHHHHにコンビニ寄って行こや。
(戻る途中にコンビニへ寄って行こうよ。)

 

 最後に大阪人のおっちゃんが語る「~しな」の解説をご紹介します。「~しな」は、大阪でもようけ使われます。

【参考動画】「~しな」の解説(出典:大阪おっちゃんねる)

 

ほな、おおきに。

Kikujiro

関連記事:『ぎょうさん、ようさん、ようけ、たんと』を見る

【本記事の参考文献】
「もっと!もっと!京ことば <春>」
「京ことばの辞典」大原穣子 研究社

目次に戻る【京ことば(京都弁)のページ】




に投稿 コメントを残す

『なおす』

【伏見稲荷大社 千本鳥居(京都市伏見区)】

※千本鳥居は右側通行です。ご注意ください。

 「なおす」は、関西弁で「片付ける」という意味で間違いありませんが、 「元々保管場所が決まっているものを元の場所にしまう」というイメージです。

 関東では片付けることを「かたす」と表現します。

 そして、関東弁「かたす」のほうが、関西弁「なおす」よりも、 厳密には広い意味で使えるはずです。

 というのは、例えば、部屋の掃除をしたときにゴミが出てきたら、

 「このゴミ、かたしておこう。」と表現できますが、
 「このゴミ、なおしとこう。」は少々違和感があります。

  これは、「なおす」は定位置が決まっているものを元の場所に戻すイメージがあるためです。

 ちなみに、「修理する」という意味の「なおす(直す)」は標準語であり、関東でも関西でもフツーに使われます。

 そのため、関西地域で「それ、なおしといてや」と言う場合、ときにややこしい状況が想定されます。

 例えば、部屋に壊れたおもちゃが置いてある状況で、
 「それ、なおしといて」と言われたら、それは「修理する」の意味なのか、「元の場所に戻す」の意味なのか、話し手によく確認したほうが良いでしょう。

 というより、ややこしいことをぬかす前に、最初から「それ、修理しといて」とか「それ、片付けといて」と言ったほうが誤解は少ないでしょうけど。
 ※『ぬかす』は卑語なので使うときはご注意ください。

 関西弁「なおす」の意味、アクセント、例文を以下に記載します。

 

なおす

【意味】片付ける、しまう(元の場所に)

 

アクセントは以下の通りです。(H:高音 L:低音)

HHH
なおす

【例文】 ※アクセントは参考程度にしてください。

LHL HHLL HHHHHHH
おもちゃ きちんとなおしといてな。
(おもちゃ、ちゃんと片付けておいてね。)

HH HHLL、LLLL HHHHHHL
この セーター、タンスに なおしといてや。
(これ、タンスにしまっておいてね。)

 「なおす」について、より詳細を知りたい御方は大阪のおっちゃんによる解説動画をご覧ください。-【関西弁講座】 大阪おっちゃんねる-

ほな、おおきに。

Kikujiro

関連記事:『ぬかす』を見る

【参考文献】
 「京ことばの辞典」大原穣子 研究社

目次に戻る【京ことば(京都弁)のページ】




に投稿 コメントを残す

『せんど』

【龍安寺の散歩道(京都市右京区)】

 ここでいう「せんど」は鮮度ではなく、千度です。
 ただ、厳密に「千回」ではなく「何度も、たくさん」という意味です。

 標準語だと「何度も言ってるだろ!」というニュアンスでしょうか。
 京言葉で言えば「せんど言うとるがな!」と表現できます。
 (語尾の「がな」は少々強い表現。「やん」のほうが柔らかい。)

 「何度も」というより「せんど(千度)」のほうが短く喋れます。
 関西地方でよく使われている言葉なので、関西弁のイメージが強いかもしれません。

 とはいえ、この言葉は辞書に載っているので普通に標準語です。

 言葉の意味と例文を以下に記載します。

 

せんど(千度)

【意味】何度も、たくさん

 

アクセントは以下の通りです。(H:高音 L:低音)

HHH
せんど

【例文】 ※アクセントは参考程度にしてください。

HHH HHH HHHLLL
せんど 言うて 聞かしたのに。
(何度も言って聞かせたのに。)

LHLL HHH HHHLL
オカンが せんど 言うててん。
(お母さんが何度も言ってたんだよ。)

LHLL HHH HHHHLL
テレビで せんど 言うとるがな。
(テレビで何度も言ってるだろうが。)

 


 

 ・・・今回は「せんど(千度)」の解説でしたが、

 実は英語にも「千度」のような表現があります。

 I told you thousand times not to do that!
 (それをやるなって何度も言っただろ!)

 この thousand times は「千回」ではなく「何度も、たくさん」と訳せます。

 この記事も読者の皆さまにとって読み易いように

 せんど改良を試みているわけですが、いまだ改善の余地はございましょう。

 それでも、多少はエエアンバイになりましたやろか?

 

ほな、おおきに。

Kikujiro

関連記事:『アンバイヨー』『エエアンバイ』を見る

【参考文献】
 「京ことばの辞典」大原穣子 研究社

目次に戻る【京ことば(京都弁)のページ】




に投稿 コメントを残す

『よばれる』

げつきょう(嵐山)(京都市右京区)】

 「よばれる」は、標準語として普通に使われています。

 例えば、「名前を呼ばれる」「パーティに呼ばれる」など。

 一方、「よばれる」には「食べる」「いただく」「ご馳走になる」という意味もあります。 これも実際には標準語として使われているので、地域によっては頻繁に使われていると思われます。

 関西弁「よばれる」は、「食べる」「いただく」「ご馳走になる」という意味でよく使われています。

よばれる

【意味】食べる、いただく、ご馳走になる

アクセントは以下の通りです。(H:高音 L:低音)

HHHH
よばれる

【例文】 ※アクセントは参考程度にされてください。

HL、HHHHH
ほな、よばれよか。
(じゃあ、食べようか。)

HLL、LHL HHHHHH
先に、お風呂 よばれますね。
(先にお風呂に入らせていただきますね。)

HL、HHHH HHHHHL
ほな、夕飯 よばれますわ。
(じゃあ、夕飯をご馳走になりますね。)

【参考動画】「よばれる」の意味と使い方

 

 京都の料亭で食事をよばれた後は、会計を済ませます。
 そこで金額が分からないときは「なんぼですか?」と聞くことになるかもしれません。

関連記事:『なんぼ?』を見る

ほな、おおきに。

Kikujiro

【参考文献】
「もっと!もっと!京ことば」<秋>

目次に戻る【京ことば(京都弁)のページ】




に投稿 コメントを残す

『そない』

【東福寺の回廊(京都市東山区)】

 「そない」も「そないに」も同様に「そんなに」という意味を表します。
 関西弁の中ではよく使われる便利な言葉です。

 

そない

【意味】そんなに、そのように

アクセントは以下の通りです。(H:高音 L:低音)

HHH
そない

【例文】 ※アクセントは参考程度にされてください。

HHH HLLLL HHHHHHL
HHH ひどいこと 言わんといてや。
(そんなにひどいことを言わないでよ。)

LLHLHL HLLL HHHL!
LLHなこと 言うたら アカンて!
(そんなことを言ったらダメだよ!)

LLLL HHHHLL
LLLに 使わんやろ。
(そんなに使わないだろう。)

LLL HLLHLL HHHHH
LLL 怖い話 せんといて。
(そんなに怖い話をしないで。)

 

 最後に、大阪のおっちゃんによる「そない」の解説動画をご紹介します。
 -【関西弁講座】 大阪おっちゃんねるより-

 

 例文にもある通り、「そない」のアクセントはさまざまです。

 これは「そないな」「そないに」など、活用形が影響して「HHH」「LLL」「LLH」のように「そない」のアクセントが変化することを表します。

 おっちゃんが言うように、何遍も聞いていると、その音に慣れていくはずです。

ほな、おおきに。

Kikujiro

関連記事:『あかん、あきません』を見る

【参考文献】
「京ことばの辞典」大原穣子 研究社

目次に戻る【京ことば(京都弁)のページ】




に投稿 コメントを残す

関西弁『~てん』

【あべのハルカス(大阪市阿倍野区)】
※右側のビル:高さ300m

 関西弁『~てん』は、短く話すことができ、便利でよく使われる表現です。

 ただ、敬語ではありませんので、目上の人には『~てん』を使わず、敬語を使うのが良いでしょう。『~てん』は、親しい仲間同士で使うのが一般的です。

~てん

【意味】~したんだ、~してるんだ

【例文】

 俺な、チャリンコ乗って、本屋立ち読み行ってん。ほんで、五分ほど立ち読みして帰って来てん。チャリンコまたがってん。チリンチリンあらへんかった。
(俺な、自転車に乗って本屋に立ち読みに行ったんだ。それで、五分ほど立ち読みをして帰って来たんだ。自転車にまたがったんだ。チリンチリンが無かったんだ。)

※ M-1グランプリ2006 最終決戦 チュートリアルのネタ『自転車のチリンチリン』より引用

 標準語は()で表しています。関西弁は短いフレーズで話せているのが分かります。また、関西弁は助詞(『を』『が』『は』『に』など)を省略して話すのが特徴なので、それも相まってフレーズが短くなっています。

 関西弁『~てん』の具体例及びフレーズのアクセントについては、大阪のおっちゃんによる解説動画をご参照ください。

▼関西弁『~てん』の使い方▼

ほな、おおきに。

Kikujiro

【関連記事】『ほんで』を見る

目次に戻る【京ことば(京都弁)のページ】




に投稿 コメントを残す

『ほんで』

からもん/つい(二条城内)(京都市なかぎょう)】

 「ほんで」は関西人がよく使うフレーズのひとつです。

 人は皆、できればラクに喋りたいと思うものです。
 だから、「ほんで」が ようけ使われているわけです。

 実際、「それで」と発音するより「ほんで」と言うほうがあまり口を動かさなくて済みます。どうぞご自身でも発音してみてください。

 というわけで、ここまでご紹介してきたように、関西弁にはラクに話せるフレーズが結構あります。「ほんで」はそのうちのひとつです。

 それでは、言葉の意味とアクセントを改めて確認しましょう。

ほんで

【意味】それで

アクセントは以下の通りです。(H:高音 L:低音)
※こちらは京阪式アクセントです。地域差・個人差はあります。

HHH
ほんで

【例文】

HHH、HH LHLLL?
ほんで、これ なんやねん?
(それで、これは何なんだ?)

HHH、LHLL HLLLHHHHLLL?
ほんで、オカンが キッツー言いよんねんわ。
(それで、母さんがきつく言うんだよね。)

 最後に、大阪のおっちゃんによる関西弁の解説動画をご紹介します。
 「ほんで」の意味とアクセントをより詳しく知りたい御方はコチラをご覧ください。

 

ほな、おおきに。

Kikujiro

【関連記事】『ぎょうさん、ようさん、ようけ、たんと』を見る

【参考文献】
「京ことばの辞典」大原穣子 研究社

目次に戻る【京ことば(京都弁)のページ】




に投稿 コメントを残す

『おこしやす』

鹿ろくおん(金閣寺)(京都市北区)】

 京都の店の主人はたいがい「おこしやす」「おいでやす」を使い分けます。

 おこしやす:予約しているお客、心待ちにしているお客に使う。
 おいでやす:不意のお客やイチゲンのお客に使う。

 ゆえに、「おいでやす」と言われたときは、あまり長居しないように気を配るのが無難かもしれません。
 また、「おこしやす」のほうが「おいでやす」よりも丁寧な表現になります。

 ここでは、「おこしやす」のアクセントと使用例を解説します。

おこしやす

【意味】いらっしゃいませ

アクセントは以下の通りです。(H:高音 L:低音)
※こちらは京阪式アクセントです。地域によって異なることがあるので、参考程度にされてください。

LLLHL
おこしやす

【例文】
LLH、HLL LHLL LLLLLHL LLLHL
どうぞ、ウチの ほうへも おこしやしとぉ おくれやす。
(どうぞ、私の家(またはお店)にも来てください。)

 最後に、大阪のおっちゃんによる関西弁の解説動画をご紹介します。
 (出典:【関西弁講座】 大阪おっちゃんねる)

 今回はスピンオフバージョンとして、
 京都人女性 みつこ先生による京都弁講座をご紹介します。

 「おこしやす」は、1:41あたりで聴けます。
 ネイティブの発音はこちらを参照してください。

 

▼京都人女性 みつこ先生による京都弁講座▼

 

 京都で馴染みの老舗料亭に行って、店の門戸を開いたら「おこしやす」とか「おかえりやす」などと店主に言われるでしょう。

 挨拶をして、席に座り、注文したら、その後は料理をよばれることになります。

関連記事:『よばれる』を見る

ほな、おおきに。

Kikujiro

【参考文献】
「京ことばの辞典」大原穣子 研究社
「新版 京都・観光文化検定試験 公式テキストブック」 京都商工会議所 淡交社

目次に戻る【京ことば(京都弁)のページ】