京都弁の助動詞『はる』

【京都御苑の小路(京都市上京区)】

 京都弁の特徴の一つとして、日常会話で『はる』がよく使われます。はる』は軽い尊敬の意味が含まれる助動詞です。

【例】表現の丁寧度(右にいくほど丁寧)

・行く < 行かはる < 行かれる
・来る < 来はる  < 来られる

 というわけで、京都では『』の時分だけでなく、一年中『はる』が聞こえてきます。
 ちなみに、京都周辺の兵庫、大阪、滋賀、奈良の人々も「はる」を使う傾向にあります。

 助動詞「はる」の活用形は以下の通りです。
 用例として「する」「行く」「言う」の活用形を併記します。

 ※地域差・個人差があるため、皆がこのように話すわけではありません。
  例えば、「しゃはる」は「しはる」という話し方もあります。

「はる」の活用する行く言う
「はる/~される」しゃはる行かはる言わはる
「はりました/~されました」しゃはりました行かはりました言わはりました
「はった/~された」しゃはった行かはった言わはった
「はんねん/~されるんだ」しゃはんねん行かはんねん言わはんねん
「はらへん/~されない」しゃはらへん行かはらへん言わはらへん
「はって/~されて」しゃはって行かはって言わはって

 

 会話に「はる」を使った例文をいくつかご紹介します。
 京都人とのコミュニケーションに役立てば幸いです。
 ※()内は標準語です。


どこ行かはるんですか?
- へぇ、ちょっとそこまで。
(どこへ行かれるのですか?)
(- はい、ちょっと近くまで。)


奥さんの着てはる着物、よう うつらはるわ。
- いぃえ~、そんな事おへんて。
(奥さんの着てらっしゃる着物、よく似合っていますね。)
(- いえいえ、そんな事ないですよ。)


なぁおばちゃん!おねえちゃんら みな 帰って来たはる?
- そうや。みんな帰って来て、やかましこっちゃ。
(なぁおばちゃん!おねえちゃんたち みんな 帰って来てる?)
(- そうよ。みんな帰って来て、さわがしいのよ。)


気持ちよう お酒回ったはるなぁ。
- ちょっとそこらで飲んでてん
(大分酔っているみたいですねぇ。)
(- ちょっとその辺で飲んでたんだよ。)


祇園祭ゆーたら、やっぱりハモやろ。
- へぇ、そう言わはるやろなぁ思いましたわ。
(祇園祭と言えば、やっぱりハモ(ハモ)だろう。)
(- はい、そうおっしゃると思いましたよ。)


昨日飲み過ぎてもうてしんどいわ。今日、仕事休んでエエかな?
- いや、何言うてはるんですか!
(昨日飲み過ぎてしまって辛いよ。今日の仕事は休んでいいだろうか?)
(- いや、何を言ってらっしゃるんですか!)


今日はメチャクチャ晴れたなぁ。
- ホンマによかったなぁ。「時代祭は晴れる」て、おばあちゃん言うたはったし。
(今日はとてもよく晴れたね。)
(- 本当に良かったね。「時代祭は晴れる」って、おばあちゃんが言ってたから。)


これ、おばあちゃんがこーてきてくれはってん
- なんか、ちょっともっさいなぁ。
(これ、おばあちゃんが買ってきてくれたんだよ。)
(- なんか、ちょっとあか抜けないね。)


知らんに帰らはったわ。
-急(せ)いてはりましたんやろなぁ。
(知らないうちに帰られましたわ。)
(-急いでいらっしゃったのでしょうね。)


A:なんや?あの笠かぶった人ら、ぼんさんか?
B:あぁ、『おーさん』やなぁ。あないして「おーっ」ゆーて、修行して回ったはんのや
A:へ~、そうなんや。せやけど、こないぎょーさん、どっからきはってんやろなぁ?
B:さぁ、どやろ。おばあちゃんに聞いてみんとわからへんわ。
(A:なんだ?あの笠かぶった人たち、坊さんか?)
(B:あぁ、『おーさん』だね。あんなふうに「おーっ」って言って、修行して回っているんだよ。)
(A:へ~、そうなんだ。だけど、これだけたくさんの人、どこから来たんだろうねぇ?)
(B:さぁ、どうだろう。おばあちゃんに聞いてみないとわからないよ。)

 最後に大阪人の御方が語る「はる」のニュアンスをご紹介します。
“京都弁の「はる」には軽い尊敬の意味が含まれる”と説明しましたが、それは大阪弁でも同様のようです。

【参考動画】「はる」のニュアンス(出典:大阪おっちゃんねる)

 

以上、何かのお役に立てば幸いです。

ほな、おおきに。

Kikujiro

【関連記事】関西弁『~てん』
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【本記事の参考文献】
「もっと!もっと!京ことば」 <春> <夏> <秋> <冬>

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