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『きばる』

【醍醐寺 五重塔(京都市伏見区)】

 これは励まし、または意気込みを表すのに使える「京ことば(京都弁)」です。
 辞書に記載されている言葉ですが『関西弁』として広く認識されています。

きばる(気張る)

【意味】頑張る
※『奮発する』『力む』という意味もある

アクセントは以下の通りです。(H:高音 L:低音)
※始めから高音が続くのは関西アクセントの特徴です。

HHH
きばる

【例文】
・セーダイHHHH
(精を出して頑張れ)

エライ長いことHHHHLH
(とても長い間頑張ってたね)

・残業なん?HHHHH
(残業なの?頑張れよ。)

・セーダイ、HHHHHHHHHHL
(精一杯、頑張らせてもらいますわ。)

 二つ目の例文のフレーズを丁寧に言うと「きばっといやしたな」となり、けっこう古風なサウンドに変わります。

 ちなみに、『気張る』『気張ります』という言い方はあまりされないようです。

 むしろ『頑張る』『頑張ります』というほうがよく聞きます。

 ですが、例文にある通り『気張らしてもらいます』はけっこう使われます。

 

ほな、おおきに。

Kikujiro

【関連記事】京ことば:『セーダイ』を見る

【本記事の参考文献】
「もっと!もっと!京ことば」 <春><秋><冬>
「京ことばの辞典」大原穣子 研究社
「新版  京都・観光文化検定試験 公式テキストブック」  淡交社

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『しょうもない』

【京都府立植物園(京都市左京区)】

 「しょうもない」は、本来の「仕様も無い」の「しよう」が訛って「しょー」と発音されています。

本来の意味は結構たくさんあります。

「手に負えない」「たわいもない」「くだらない」「役に立たない」 など。

 たいがいの「しょーもない」は、「つまらない」 「くだらない」 というニュアンスで使われます。

しょーもない

 【意味】くだらない、つまらない

アクセントは以下の通りです。(H:高音 L:低音)
LLHLL
しょーもない

【例文】 ※アクセントは参考程度にされてください。

LLHLL LH LHL
しょーもない シャレ やなぁ。
(つまらないシャレだなぁ。)

LLHLLLL HLLL !
しょーもないこと いうなよ!
(くだらないこと 言うなよ!)

 最後に、大阪のおっちゃんによる「しょーもない」のアクセントの解説動画をご紹介します。-【関西弁講座】 大阪おっちゃんねるより-

 

 

 おっちゃんの容姿が若干カオスですが、ご了承ください。

「しょーもない」のアクセントが①②③の3つ紹介されています。

 大阪弁は、③(LLHLL)がしっくりくるようです。

 京都弁も、③(LLHLL)がしっくりきます。

 ちなみに「松本人志のすべらない話」 のある回を観たところ、京都市出身の芸人である宮川大輔さんの「しょーもない」のアクセントは③でした。

 また、「つまらない」 「くだらない」 よりは、「しょーもない」のほうがちょっと柔らかく聞こえるかもしれません。

「つまらない」は、完全にスベっている状態ですし、「くだらない」は、濁点が少々とげとげしく感じられます。知りませんけど。

 というわけで、誰かがくだらないシャレを言ったときに 「しょーもないなぁ!」 と返してみてはいかがでしょうか。

 ただ、相手は選んだほうが良さそうです。

ほな、おおきに。

Kikujiro

関連記事:『たいがい』を見る

【参考文献】
「京ことばの辞典」大原穣子 研究社
「新版 京都・観光文化検定試験 公式テキストブック」 京都商工会議所 淡交社

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『キョービ(きょうび)』

【清水寺(京都市東山区)】

 昨今、近頃、この頃・・・世の中の近況を表現する言葉はいろいろありますが、
 京ことばに挙げられる古風な言い回しをご紹介します。

 そもそも「今日日」と書かれた文字を見て、読み方が分かる人はどれだけいはるでしょうか。意外と読みにくいかもしれません。

キョービ

【意味】今日この頃、今どき、最近

アクセントは以下の通りです。(H:高音 L:低音)

LHL
キョービ

【例文】(アクセントは参考程度にされてください。)

LHL、 HHHHL HHHLL!
キョービ、そんなやつ おらんやろ!(最近、そんな人はいないだろ!)

最後に 『今日きょう』 について、大阪のおっちゃんによる解説動画【関西弁講座-大阪おっちゃんねる- 】をご紹介します。

 

今日きょう』は、関東ではほとんど使われない言葉です。
ただ、ひと昔前ですが、アンタッチャブルの柴田さんが2004年 M-1グランプリ 最終決戦のネタの中で「キョービ」を使っていました。
(柴田さんのツッコミは審査員から非常に高く評価されていました。)

 また、『一昨日』 を 『HHLL』 と読んでしまうあなたは、もしかしたら関西人かもしれません。

 もっと言うと、『昨日』『今日』『明日』と、一般的に時間を表す言葉は日常的によく使われますが、基本的に関東弁と関西弁ではアクセントが全く違います。

関連記事:『関東弁と関西弁のアクセント』を見る

ほな、おおきに。

Kikujiro

【参考文献】
「京ことばの辞典」大原穣子 研究社

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『ぎょうさん、ようさん、ようけ、たんと』

【京都タワー(京都駅前)】

 関西弁には『たくさん』という意味の言葉がようけあります。

 『ぎょうさん』『ようさん』『ようけ』『たんと』4つの言葉すべてに”たくさん”という意味が含まれ、それぞれ、人、物に対して使われる言葉です。

 これらに明確な意味の違いがあるかは微妙です。

 言い換えれば、使い勝手の良い言葉とも言えます。

 例えば、以下のどれでも同じように意味は伝わります。

  • お客さん、ようけ居はる
  • お客さん、ぎょうさん居はる
  • お客さん、たんと居はる

 ただ、『ようけ』には他の言葉にはない”余計”というニュアンスがあり、
 言葉も3文字と短いので使いやすいかもしれません。

 以下に例文を記載します。

 【アクセント記号の意味】
  H:高音 L:低音

HHLL
ぎょうさん(仰山)

【意味】たくさん(数が多い)
(例文)
・こないぎょうさん、食べられへんわ。
 (こんなにたくさん、食べられないよ。)
ぎょうさんうたし、オマケしてくれはった!
 (たくさん買ったから、オマケしてくれました!)
 ※「うた」は「こーた」と読む。

HHLL
ようさん

【意味】たくさん(「ぎょうさん」が訛った言葉)
(例文)
そないな経験は、ようさんあったわ。
 (そのような経験は、たくさんあったよ。)
なんや知らんけど、お客さん、ようさん居はるわ。
 (何かよく分からないけど、お客さん、たくさん居るね。)

HLL
ようけ 

【意味】たくさん(余計にあるというニュアンスもある)
(例文)
・お客さん、ようけ居はるなぁ。
 (お客さん、たくさんいらっしゃるなぁ。)
・夕飯のおかず、エライようけあるなぁ。
 (夕飯のおかず、とてもたくさんあるなぁ。)

HLL
たんと

【意味】たくさん。いっぱい。
(例文)
たんと食べて、はよ元気になってや!
 (たくさん食べて、早く元気になってね!)
たんとの人、お集まりやしたなぁ。
 (たくさんの人、お集まりましたね。)
・本がたんとおすなぁ。
 (本がたくさんありますねぇ。)

【関連動画】『ぎょうさん、ようさん、ようけ』
(出典:大阪おっちゃんねる)

ほな、おおきに。

Kikujiro

関連記事:『なんや知らんけど』を見る

【本記事の参考文献】
「もっと!もっと!京ことば」 <春> <秋>
「京ことばの辞典」大原穣子 研究社
「新版  京都・観光文化検定試験 公式テキストブック」淡交社

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『けったい』『たいがい』

【方丈庭園(東福寺)(京都市東山区)】

 「けったい」と「たいがい」の意味は対照的であったり、そうでなかったりします。いずれも、人、物、どちらに対しても使われます。

けっHLL

【意味】変な、おかしな、奇妙な

LLHL

【意味】ふつう、たいてい、ほどほどに

【例】

・おかあちゃん、けっHLLなパーマあててきゃはった。
(お母さんが変なパーマをかけてきた。)

・弁当箱のフタを開けたら、けっHLLなおかずが入っていた。

けっHLLなこと言う人やな。

LLHLの家庭にはテレビがある。

LLHLのサラリーマンは日勤である。

・残業はLLHLにしときや。
(残業はほどほどにしなさい。)

 ちなみに上記の『たいがい』を漢字にすると『大概』になります。
これが『大害(たいがい)』になると、大きな災いという意味になります。
(これは京ことばではありませんが)

「あの火災は大害になった」「大概の火災は大害に繋がる」などの表現は可能です。

 また、京都弁で「たいがいにしておくれやす」と言うと、「いいかげんにしてください」という意味になります。

 言葉はやんわりとしていますが、内心は穏やかではないので、このように言われたときはご注意ください。雰囲気で何となく怒ってはるのは分かると思いますけど。

 最後に「けったい」についての解説動画をご紹介します。

 

【関西弁講座】けったい(大阪おっちゃんねるより)

 

ほな、おおきに。

Kikujiro

関連記事:『そない』を見る

【本記事の参考文献】
「もっと!もっと!京ことば」 <春> <秋>
「京ことばの辞典」大原穣子 研究社

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