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ALL of Me

シャルロットオースチン
【写真】シャルロット・オースチン -イギリスの薔薇-
(黄色い薔薇の花言葉:献身、美、爽やか、あなたに恋している、嫉妬)

 

 今回はジャズスタンダードの13曲目をご紹介します。

 All of Meはジェラルド・マークスとセイモア・シモンによって作られました(1931年)。 ビリー・ホリディなどの歌手が歌い、多くのジャズミュージシャンたちによって好んで演奏され、ジャズスタンダード楽曲になりました。

 楽曲に使うコードは12個。わりと少なく、ジャズスタンダードの中ではシンプルな方です。そんなわけで、この楽曲には自由にアドリブができる楽しさがあります。

 歌詞について、最初の why not~ には「どうして~なの?」という、理由を問い詰めるようなニュアンスがあります。

 一方、最後の why not~には「~したらどうなの?」という提案のニュアンスがあります。同じ言葉でも文脈や雰囲気によってニュアンスが変わるわけです。

 まずは歌詞をご覧ください。

 

All of Me

Lyrics & Music:Gerald Marks & Seymour Simons

 

All of me, why not take all of me?
(ボクの全てを、どうして奪わないの?)

Can’t you see I’m no good without you?
(ボクは君と一緒じゃなきゃダメだってこと、分からないの?)

Take my lips, I want to lose them.
(唇を持って行ってよ、奪われたいから。)

Take my arms, I’ll never use them.
(両腕を持って行ってよ、決して使わないから。)

Your good-bye left me with eyes that cry.
(君のサヨナラはボクを置き去りにした。その泣き顔と共に。)

How can I go on, dear, without you?
(ねぇ、ボクは君なしでどうしたらいいの?)

You took the part that once was my heart.
(君は、かつてのボクの心を奪った。)

So why not take all of me?
(だから、ボクの全てを奪ったらどうなの?)

 

 続いては楽曲をご紹介します。アコースティックなサウンドが好きな御方にオススメ。ジプシー・ジャズによるカバー曲です。ちなみに、メロディーラインのギターは運指が細かく速いので難易度は相当高いはずです。そんなわけで、テクニックに自信のある人はコピーしてみてはいかがでしょうか^^。

▼ジプシー・ジャズ(トリオ)▼

  

ほな、おおきに。

Kikujiro

 

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September In The Rain

 今回はジャズスタンダードの12曲目をご紹介します。

 この曲は映画「Melody for Two」(1937年)に使われ、主演のジェームス・メルトンの歌やガイ・ロバード楽団などが大ヒットしました。作曲はハリー・ウォーレン、作詞はアル・デュビン

 季節は春を迎えているのに、自分自身の気持ちは恋の絶頂期(?)であった九月の雨の中で立ち止まっている。そんな切ない歌詞であるにも関わらず、曲調がメジャー(明るい響き)なので、憂鬱な雰囲気を微塵も感じさせない、けったいな曲。主人公が感傷に浸る自分を好きになっているせいかもしれませんね。知りませんけど。

 曲中、that Sepetember in the rain というフレーズが3度も韻を踏みます。誰かて3回も同じことを言われたら多少は気になります。
 ちなみに、2回目と3回目の that September in the rain の that の前には、1回目に登場した “Remenber” が省略されているものと思われます。というのは、そのフレーズと共に過去を思い出しているので。

 また、動詞が文頭に来ると命令形になります。それを踏まえると、「主人公は自分自身に命令してるんかい!」というツッコミが成り立つわけですが、ここでは主人公が過去を思い出して「Remenber」という言葉を発しているに過ぎません。それについては彼もしくは彼女の勝手ということで、そっとしておいてください。

 まずは、そんな自由な歌詞をご覧ください。

 

September In The Rain

Lyrics:Al Dubin

Music:Harry Warren

 

The leaves of brown came tumbling down.
(褐色の葉が落ちて来た。)

Remember that September in the rain.
(あの九月の雨を思い出す。)

The sun went out just like a dying ember.
(消えていく残り火のように太陽が沈んだ。)

That September in the rain.
(あの九月の雨を思い出す。)

To every word of love, I heard you whisper.
(あらゆる愛の言葉に応じて、あなたがささやくのを聞いた。)

The raindrops seemed to play a sweet refrain.
(雨だれは心地良いリフレインを演奏しているかのように思えた。)

Though spring is here, to me, it’s still September.
(もう春だけど、私にとってはまだ九月。)

That September in the rain.
(あの九月の雨を思い出す。)

【Words】

 come tumbling down 落ちてくる。 went out 消えた。 dying 消えようとする。
ember 残り火。play 演奏する。raindrop 雨だれ。sweet refrain 心地良いリフレイン

 

 次に楽曲をご紹介します。
 エディ・ヒギンズ・トリオの快調なスウィングです。

 

▼Eddie Higgins Trio▼

  

ほな、おおきに。

Kikujiro

 

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I Could Write A Book

 今回はジャズスタンダードの11曲目をご紹介します。

 この曲はミュージカル「パル・ジョーイ」(1940年)の主題歌。作曲はリチャード・ロジャース、作詞はロレンツ・ハート。”恋人の素晴らしさを本にでも書けたらなぁ”という内容のラブソング。
 ところで、ここで言っている「I could write a book」を字面通り「私は本を書くことができた」と単純に解釈してはいけません。

 実際の意味としては「I could write a book if I had that skill」という感じで、これは「十分な技能があれば本を書けるのに」というニュアンス。なので、この歌詞からすると本人は自分に本を書く能力が無いことを認めてしまっているので、ある意味残念に見えます。
 ただ、ここで本人が主張したいことは、本にでも書きたいくらい恋人が魅力的であるということのはず。そうすると、客観的にはその時点で大分のろけているようで、これもまた残念に見えます。
 とはいえ、そんな歌詞も含めて、この曲は素晴らしいと評価されているからこそ、ジャズスタンダードの一曲に挙げられるのでしょう。

 

I Could Write A Book
Lyrics:Lorenz Hart
Music:Richard Rodgers

 

If they ask me, I could write a book about the way you walk and whisper and look.
(ボクに言わせれば、本を書きたいなぁ。君の歩き方、話し方、見た目について。)

I could write a preface on how we met.
(序文にはボクたちの馴れ初めを書きたい。)

So the world would never forget.
(それで、世間は決して忘れないだろう。)

And the simple secret of the plot is just to tell them that I love you a lot.
(そして、策略の単純な秘密は、ボクが君をとても愛していることを皆にただ伝えることだ。)

Then the world discovers as my book ends how to make two lovers of friends.
(そうしたら、世間はボクの本を読み終わる頃に、二人の友達を恋人にする方法に気が付くさ。)

 

【Words】

whisper (小声で)話す。preface 序文。plot 策略。discover ~に気が付く。
make two lovers of friends 二人の友達を恋人にする

 

 次に楽曲をご紹介します。
 1曲目は「ブルース界の女王」と名高いダイナ・ワシントンの歌唱。
 2曲目はエディ・ヒギンズの華麗なピアノトリオ楽曲です。

▼Dinah Washington▼

 

▼Eddie Higgins Trio▼

  

ほな、おおきに。

Kikujiro

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櫻ノ詩

【2023年9月25日更新】

 「櫻ノ詩」は、サウンド、リズム、歌詞、歌声、全てが調和した秀逸の楽曲です。

 また、この歌はPCゲーム「サクラの詩-櫻の森の上を舞う-」の主題歌であり、ゲームは萌えゲーアワード2015大賞を受賞しています!

 清々しく、躍動感にあふれたエネルギッシュな旋律、駆け抜けるようなアップビートは、咲き誇っては舞い散るサクラの如く、心象に強く刻まれるでしょう。

 詩は「生」への洞察に満ちています。

 私たちの「命」は、個人の肉体と寿命によって限られています。

 つまり、「命」は空間的にも時間的にも制限されています。

 それでも、私たちが生み出すものは、時空を越えて、世界に広がり、その「創作」と「感動」は誰かに伝えて共有できるのです。

 だからこそ、例え一瞬で過ぎ去るような人生であっても、自分が存在する意味を感じて、その瞬間に集中することが重要であると、この詩は述べているはずです。
 (私の解釈に誤りが無ければ!)

 

 

 英語訳も行ないました。日本語の歌詞と音符が合うように調整したので、余裕があれば英語詞で歌ってみてください。

 まずは歌詞をご覧ください。

 

櫻ノ詩 -Short ver-
    作詞:すかぢ
    作曲:松本文紀
    歌唱:はな

 

はしる光の螺旋
(The ray of light shines, drawing spirals)

吹き上がる音と言葉の即興劇(エチュード)
(An impromptu play of sounds and words are starting to blow)

さくらのときを奏でよ はじまりへ
(It’s time to play the moment, Sakura no Toki. Let’s get started.)


風の筆 射す 春日花抄(シュンジツカショウ)
(A brush is going on like a wind , “Shun-jitsu-ka-syo^.”)

その力に身をまかせよう 恐れなどいらない
(You can believe your hands and just go with the flowing. There is nothing for you to fear now.)

足が立つ この大地 さくら舞う
(You’re standing with your feet , surely on the groud. Sakura’s falling.)

瞬間を閉じこめた永遠こそ
(Forever exists at the moment made by our own hands.)

わたしたちの意味 そして意義だと
(The both meaning and reason would be with the moment and us.)

君は知るだろう
(You will realize that)

さぁ うけとるがいい
(Here’s the time to live for you now)

永遠の相(そう)
(the phase of the forever)

このさくらの詩の下
(Under this song, Sakura no Uta)

//

Translated by Kikujiro from Japanese into English.

 

続いて楽曲の紹介です。

▼櫻ノ詩 -short ver-▼

 

ちなみに、フルコーラスの曲をお聴きしたければ、パソコン画面では右側のウィジェットに『櫻ノ詩』が固定されておりますので、そちらを再生してみてください(スマートフォンの場合は、画面をさらに下へスライドすると出てきます)。

ほな、おおきに。

Kikujiro

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The Girl From Ipanema

 今回はジャズスタンダードの10曲目をご紹介します。
 これは1962年に作られたボサ・ノヴァの名曲。アントニオ・カルロス・ジョビンが作曲し、ヴィニシウス・ドゥ・モライスがポルトガル語で作詞しました。御二方ともブラジル出身。
 この曲は ”Dirigível (Airship)”という題名のミュージカルコメディのために作られました。
 その後、アメリカ出身のノーマン・ギンベルが英語で作詞しました。 1964年 スタン・ゲッツ(テナー・サックス奏者)とアストラッド・ジルベルト(ボーカル)が共演したレコードが大ヒットしたことから ボサ・ノヴァは世界的に流行し、1965年度にはグラミー賞(アメリカのレコード賞)を受賞しました。
 まずは英語詞をご覧ください。和訳付きです。

 

The Girl From Ipanema
Lyrics:Norman Gimbel
Music:Antônio Carlos Jobim

 

Tall and tan and young and lovely
(長身で黄褐色の若く素敵な)

The girl from Ipanema goes walking
(イパネマの娘が歩いていく)

And when she passes , each one she passes goes “Ah”
(彼女が通り過ぎるとき、誰もが(恍惚して)”あぁ”と声を上げる)

When she walks, she’s like a samba that swings so cool
(彼女が歩いていくとき、クールにスウィングするサンバのようで)

And sways so gently that when she passes, each one she passes goes, “Ah”
(そして穏やかに心を揺さぶるから、彼女が通り過ぎるとき、誰もが”あぁ”と声を上げる)

Oh, but he watches so sadly
(しかし、彼はとても悲しげに(彼女を)見ている)

How can he tell her (that) he loves her
(どうしたら彼は彼女への愛を伝えられるのか)

Yes, he would give his heart gladly
(そう、彼は喜んで自分自身の想いを捧げるだろう)

But each day when she walks to the sea,
(しかし、毎日彼女が海へと歩いていくとき)

She looks straight ahead, not at him
(彼女は真っすぐ前を見て、彼のことは見ない)

 

Tall and tan and young and lovely
(長身で黄褐色の若く素敵な)

The girl from Ipanema goes walking
(イパネマの娘が歩いていく)

And when she passes,he smiles but she doesn’t see
(彼女が通り過ぎるとき、彼は笑うが彼女はそれを見ない)

 

Oh, but he watches her so sadly
(それにしても彼は悲しげに彼女を見ている)

How can he tell her (that) he loves her
(どうしたら彼は彼女への愛を伝えられるのか)

Yes, he would give his heart gladly
(そう、彼は喜んで自分自身の想いを捧げるだろう)

But each day when she walks to the sea,
(しかし、毎日彼女が海へと歩いていくとき)

She looks straight ahead, not at him
(彼女は真っすぐ前を見て、彼のことは見ない)

 

Tall and tan and young and lovely
(長身で黄褐色の若く素敵な)

The girl from Ipanema goes walking
(イパネマの娘が歩いていく)

And when she passes,he smiles but she doesn’t see
(彼女が通り過ぎるとき、彼は笑うが彼女はそれを見ない)

She just doesn’t see, no she doesn’t see
(まったく見ない、少しも見ない)

She just doesn’t see
(まったく見ない)

 

【Words】

tan 黄褐色。lovely 素敵な。each one 一人一人が。sadly 悲しげに。gladly 喜んで。each day 毎日。samba サンバ。swing スイングする。sway 揺り動かす。gently 優しく。look straight ahead 真っすぐ前を見る。

 

次に楽曲をご紹介します。
ボーカル付きは王道のアストラッド・ジルベルト。
インストルメンタルは天才ピアニストのオスカー・ピーターソン。

▼アストラッド・ジルベルト▼

 

▼オスカー・ピーターソン▼

 

ほな、おおきに。

Kikujiro

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Lover Come Back To Me

今回はジャズスタンダードの9曲目をご紹介します。
この曲はブロードウェイで初演されたオペレッタ(operetta)
「ザ・ニュー・ムーン」(1928年)で使われた楽曲。

以後、この歌はラヴ・ソングの代表曲として、これまでに多くのシンガーによって歌い継がれてきました。

 

Lover Come Back To Me
Lyrics:Oscar HammersteinⅡ
Music:Sigmund Romberg

 

The sky was blue and high above.
(空は青く、上空に高い。)

The moon was new and so was love.
(月は新月で私の恋も同じように新しかった。)

This eager heart of mine was singing.
Lover where can you be?

(私の熱烈な心が歌っていた。「恋人よ、いまどこに?」と。)

You came at last. Love had its day.
(あなたがついに現れた日、恋は最高の瞬間を迎えた。)

That day is past. You’ve gone away.
(その時は過ぎ去った。あなたは立ち去った。)

This aching heart of mine is singing.
Lover come back to me.

(私の辛く切ない心が歌っている。「恋人よ我に帰れ」と。)

(When) I remember every little thing you used to do, I’m so lonely.
(些細な出来事を思い出すとき、とても寂しくなる。)

Every road I walk along. I walk along with you.
(あらゆる道を一緒に歩いた。あなたと一緒に歩いてきたから。)

No wonder, I am lonely.
(当然、寂しいよ。)

The sky is blue. The night is cold.
(空は青い。夜は冷たい。)

The moon is new, but love is old.
(月は新月、でも恋は昔の事。)

And while I’m waiting here, this heart of mine is singing.
Lover come back to me.

(ここで待ちながら、心は歌っている。「恋人よ我に帰れ」と。)

 

【Words】

above 上空に。eager 熱烈な。at last ついに。past 過ぎ去った。gone away 立ち去った。aching 辛く切ない。every little thing 些細なこと。along 一緒に。No wonder 当然。
while ~:~する間。

 

次に楽曲をご紹介します。
一風変わったアコースティックな音楽、ジプシー・ジャズから「コニー・エヴィンソン」、そしてメロディアスなBGM「エディ・ヒギンズ・トリオ」です。

 

▼コニー・エヴィンソン▼(ジプシー・ジャズ)

 

▼エディ・ヒギンズ・トリオ▼ 

 

ほな、おおきに。

Kikujiro

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Secret Love

今回はジャズスタンダードの8曲目をご紹介します。
この曲はドリス・デイが主演している映画「カラミティ・ジェーン」(1953年)の主題歌になっています。

まずは楽しげな歌詞を和訳付きでご覧ください。

 

Secret Love
Lyrics:Paul Francis Webster
Music:Summy Fain

 

Once I had a secret love that lived within the heart of me.
(ある時、私は秘密の恋を心の内に抱えていた。)

All too soon my secret love became impatient to be free.
(あっという間にその想いは自由になりたくてたまらなくなった。)

So I told a friendly star the way that dreamers often do.
(だから、私は親しい星に語りかけた。空想家がよくやるように。)

Just how wonderful you are and why I’m so in love with you.
(どうしてあなたはそれほど素敵なのか、そして私はなぜそれほど恋しているのか。)

Now I shout it from the highest hill, even told the golden daffodils.
(今、一番高い丘の上から叫ぶわ。黄水仙にさえ話したわ。)

At last my heart’s an open door, and my secret love’s no secret any more.
(ついに、私の心のドアは開かれ、秘密の恋はもはや秘密ではなくなったわ。)

 

【Words】

within ~の内に。 All too soon あっという間に。impatient ~したくてたまらない。friendly 親しい。dreamer 空想家。I’m in love with you あなたに恋をしている。 shout 叫ぶ。hill 丘。even ~にさえ。golden daffodils 黄水仙。at last ついに。any more もはや(※否定構文で使う)

 

次に楽曲をご紹介します。
王道の「ドリス・デイ」、代表的な録音として名高い「カーメン・マクレエ」、そしてメロディアスなBGM「エディ・ヒギンズ・トリオ」です。

▼ドリス・デイ▼ 

 

▼カーメン・マクレエ▼ 

 

▼エディ・ヒギンズ・トリオ▼ 

ほな、おおきに。

Kikujiro

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Night and Day

 ジャズ・スタンダードナンバーの7曲目をご紹介します。

 「Night and Day」は、1932年から上演されたミュージカル 「陽気な離婚」 の中でフレッド・アステアが歌って大ヒットしました。

 1946年にはコール・ポーター(Cole Porter)の生涯を描いた映画 「ナイト・アンド・デイ」が作られ、その主題歌になりました。

 ここで紹介している歌詞は、コニー・エヴィンソン(Connie Evingson)の歌唱です。

 オリジナルの歌詞と比べてみると、微妙に違っています!

【例】 longing ⇒ feeling、 torment ⇒ torture

 この曲は「スタンダードナンバー」なので、多くの音楽家の方々がカバーしています。例えば、エラ・フィッツガルド(Ella Fitzgerald)、ダイアナ・クラール(Diana Krall)、 ヘレン・メリル(Helen Merrill)など。

 そんな中、誰もが歌詞についてはオリジナルに準じて歌っていますが、コニー・エヴィンソンの場合は違います。

 そして、違うのは歌詞だけではなく、音楽スタイルも一般的なサウンドとは違います。詳しくは後半でご説明しましょう。

 まずは歌詞をご覧ください。
 ※歌詞のヴァース(冒頭の導入部)は省略しております。

『Night and Day』

作曲:Cole Porter

Night and day, you are the one
(夜も昼も、君のことで頭がいっぱい)

Only you beneath the moon and under the sun
(君のことだけ。月の下でも太陽の下でも)

Whether near to me or far, it’s no matter darling where you are
(近くても遠くても関係ない。君がどこに居ようと)

I think of you
(ボクは君のことを想う)

Night and day
(夜も昼も)

 

Day and night, why is it so
(昼も夜も、どうしてだろう?)

That this feeling for you follows wherever I go
(どこへ行ってもこの気持ちがついてくる)

In the roaring traffic’s boom, in the silence of my lonely room,
(喧騒の中に居ても、一人静かな部屋の中に居ても)

I think of you
(ボクは君のことを想う)

Night and day
(夜も昼も)

 

Night and day, under the hide of me
(夜も昼も、ボクの隠れた場所で)

There’s an oh such a hungry yearning burning inside of me
(こんなにも君への切なる思いが燃え上がっている)

And its torture won’t be through
(そしてこの苦悩は終わらないだろう)

Till you let me spend my life making love to you
(君と共に愛し合えるようになるまでは)

Day and night
(昼も夜も)

Night and day
(夜も昼も)

//

 

・・・というわけで、かなり重度の恋愛症候群に陥っている人の歌です。

 ちなみに、コニー・エヴィンソンさんの楽曲のテンポは約 184 BPM(Beat Per Minutes)です。

 速度標語では、 ”Presto(プレスト)”(急いだスピードで)に分類されます。
 けっこう速いです。

 

 前半にお伝えした通り、音楽スタイルについてお話します。

 彼女のNight and Day は 「ジプシー・ジャズ」です。

 これはジプシー音楽とジャズが融合したもので、ジプシー音楽の特徴である、高速テンポ、小刻みなメロディ、細かいリズムがジャズの4ビートと合わさった音楽です。

 楽器の最小編成はリードギター、リズムギター、ベースの3人で、そこにバイオリンやクラリネットなどの管弦楽器やアコーディオンが加わることもあります。

 ジプシー・ジャズのテクニカルでハーモニックなギターサウンドにも注目です。

▼コニー・エヴィンソン(Connie Evingson)の歌唱▼

 Night and Day は、「GYPSY IN MY SOUL」というアルバムに収録されています。

 収録曲は全15曲。Night and Day は11曲目。
 他にも「スタンダード・ナンバー」は収録されています。

 ・Lover Come Back to Me
 ・April in Paris
 ・Caravan
 ・You and the Night and the Music
 ・S’Wonderful

 以上 5曲です。(Night and Dayを含めると6曲)

 そして、アルバムのタイトルが示唆する通り、全楽曲の音楽スタイルが「ジプシー・ジャズ」です。

 1曲目 Nature Boy から独特な演奏スタイルとノリに包まれて不思議な感覚を覚えます。(この手の音楽ジャンルに聞き慣れていなければ)

 次に 2曲目 I’m Confessin’ になると、またしても変則的なノリに非日常的な印象を受けます。

 そして 3曲目 Gypsy In My Soul の冒頭を聴くと「・・・ジャズではないのかな?」と思ったら、それは実はヴァース(verse:導入部)で、やがて独特なノリのジプシー音楽が始まります。

 そもそも日本の環境で育っていると、ジプシー音楽に馴染みの無い方がけっこう多いはずですので、是非聴くことをオススメします。

 上述の通り、楽曲は全体的にアコースティックな響きです。

 ほな、おおきに。

 Kikujiro

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Honesty

 この歌の主人公は、頼れる唯一の人に誠実さを求めています。

「世の中は『不誠実』に溢れているけど、君だけはどうか嘘をつかないでほしい。誠実であってほしい。」と主張しています。

・・・「そもそもあなた自身は他人に対して誠実なのか?」とツッコみたくもなりますが、それはさておき。

 私たちは、家族、友人、恋人などをはじめ、仕事の仲間や取引先、世間の人々に対して、皆に誠実であってほしいと無意識に願っています。

 むしろ、それが当然だと考えています。「約束を守る、嘘をつかない」といった『誠実さ』は、相手との信頼関係を築く上で非常に大切なことです。

 とはいえ、人間関係においては往々にして「本音」と「建前」が生じるので、常に噓偽りなく、何かをオブラートに包むことなく相手と接するのも困難であったりします。

 ここでひとつ、ことわざをご紹介します。

“Good friends are hard to find”
(良い友達は見つけるのが難しい)

 良い友達とは具体的にどんな人か。

 一つ挙げるなら「互いに本音を語り合える相手」ではないでしょうか。

 例えば、他の誰にも言えないような悩みを相談できたり、 人生の夢や目標を話すことができる相手です。こちらが話すことに対して相手は、真摯に聞いて反応してくれる。

 こういったことは並大抵の知人や友人には決してできないはずです。そうやって心底、本音で語り合える仲まで至るには、図らずも長い月日をかけて育んできた信頼があるはずであり、それは言わば誠実さの賜物です。

 そんなわけで、ここでは誠実さをテーマにした有名な楽曲をご紹介します。

 後半では楽曲の解説をしますので、興味のある方はどうぞ最後までご覧ください。

『Honesty』

作詞作曲:Billy Joel
歌   :Billy Joel

If you search for tenderness,it isn’t hard to find.
(優しさを求めるなら、見つけるのは容易い。)
You can have the love you need to live.
(生きるのに必要な思いやりは受けられるだろう。)
But if you look for truthfulness , you might just as well be blind.
(だけど、誠実さを求めるなら、盲目になったほうが却ってマシかも。)
It always seems to be so hard to give.
(それを示すのはいつだって難しいから。)

Honesty is such a lonely word.
(”誠実さ”とは実に寂しい言葉だ。)
Everyone is so untrue.
(皆が不誠実だから。)
Honesty is hardly ever heard and mostly what I need from you.
(”誠実さ”とは、これまでに全く聞くことはなかったが、君にこそ求められている。)

I can always find someone
(いつだって誰かを見つけることはできる)
to say (that)they sympathize
(同情してくれる人はね)
if I wear my heart out on my sleeve.
(僕が正直に話していれば)
But I don’t want some pretty face to tell me pretty lies.
(だけど、可愛い顔で可愛い嘘をつく人はお断りさ。)
All I want is someone to believe
(僕が求めているのは信じられる人だから。)

Honesty is such a lonely word.
Everyone is so untrue.
Honesty is hardly ever heard and mostly what I need from you.

I can find a lover , I can find a friend
I can have security until the bitter end
(安心を手に入れることもできる。皮肉な終末までは。)
Anyone can comfort me with promises again. I know
(誰でも僕を慰めることはできる。また約束をすればね。)

When I’m deep inside of me,
(僕が自分の殻にこもっていたら)
don’t be too concerned.
(そっとしておいてほしい)
I won’t ask for nothing while I’m gone.
(そういうときは何も求めていないんだ)
But when I want sincerity, tell me where else can I turn
(だけど、僕が誠実さを求めるときは、他にどこか振り向ける場所を教えてほしい)
Because you’re the one I depend upon
(なぜなら、君は僕が唯一頼れる人だから)

Honesty is such a lonely word.
Everyone is so untrue.
Honesty is hardly ever heard and mostly what I need from you.

//

 この曲の作詞・作曲はアメリカのシンガーソングライター、ビリー・ジョエル(Billy Joel)が手掛けており、歌い手も同様にビリー・ジョエルです。

 この曲は当初、彼が1978年に発表したアルバム「52nd Street」に収録され、翌年(1979年)に「Honesty」のシングル版がリリースされました。日本ではこれまで様々なミュージシャンによってカバーされてきた曲です。

 この曲はサビが “EM7“(イーフラットメジャーセズンス)という「不協和音」から始まり、サビはやや不安定な響きになります。


 和音には「協和音」と「不協和音」の二つがあります。

・協和音 :調和した安定的な和音
・不協和音:調和しない不安定な和音


 定義上、四和音は全て不協和音になります。
 そして、EM7は四和音になるので不協和音となり、不安定な響きとなります。

 しかし、この曲を全体的に見ると、最後の和音は B で終わります。
 B(ビーフラットメジャー)とはシ・レ・ファの三和音であり、協和音です。

 ですから、EM7から始まるサビには複雑な響きを感じるものの、曲の終わりは明るい響きになります。

 きっとビリー・ジョエルさんが 、歌詞における “you” が誠実な態度を他人に見せることを願って、最後のコードを明るい響きの “B“にしたのでしょう!「終わりよければ全て良し」とでも言いましょうか。

 それでは、最後にご本人の歌唱をご紹介します。

 

 ちなみに、Honestyの詳しい解説は、拙著『洋楽の教養12 』でも紹介しております。
 是非ご覧ください!

ほな、また!

Kikujiro

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Beautiful Love

 これまでにジャズスタンダードの楽曲を5つ紹介しました。

 ・Take The “A” Train
 ・The Days Of Wine And Roses
 ・Autumn Leaves
 ・All The Things You Are
 ・Fly Me To The Moon

 こちらの楽曲 Beautiful Love は6曲目になります。
 そして、これがひとつの節目です。

 というのは、以上の楽曲は私の著書 『洋楽の教養12』の中で解説していますので。

 今後もジャズスタンダードの楽曲を紹介することはありますが、これらの6曲は非常に有名な曲なので是非とも知っておいていただきたいですね!

 

 さて、ここにひとつの格言があります。

 ”Love is blind”(恋は盲目)

 人は恋に落ちると、ときに理性や常識を忘れてしまいます。
 相手の魅力的な良い面ばかりが見えて、悪い面はあまり気にならないものです。
 そんな状態では普段では考えられない、思い切った行動に出ることもあります。

 ちなみに、この言葉の由来はシェイクスピアの喜劇 「ヴェニスの商人」の登場人物の台詞にあります。

 世の中には、シェイクスピアの作品から引用されている格言が多々あります。

 例えば、

 All that glitters is not gold.
  (光るものすべてが金ではない)

 To be or not to be, that is the question.
 (生きるべきか死すべきか、それが問題だ)

 ・・・など。これらについては別の機会に詳しく解説いたします。

  ・・・話を戻して、一目惚れでテンションが上がっている人物の歌をご紹介します。
 後半では楽曲の解説をしますので、興味がある方は最後までお付き合いください。

『Beautiful Love』

作詞:Haven Gillespie
作曲:Wayne King , Victor Young, Egbert Van Alstyne 

Beautiful love. You are a mystery.
(美しい人、君は謎めいた人。)   
Beautiful love. What have you done to me?
(美しい人、僕に一体何をしたの?)
I was content until you came along.
(君と出会うまで不自由など何も無かったのに)
Thrilling my soul with your song.
(その歌で僕の心は揺さぶられる)

Beautiful love. I’ve roamed your paradise.
(美しい人、僕は(夢の中で)君がいる楽園を彷徨った。)
Searching for love, my dreams to realize.
(夢を実現するために君の愛を求めている。)
Reaching for heaven depending on you.
(君に焦がれて高望みをしている。)
Beautiful love. Will my dreams come true?
(美しい人、僕の望みは叶うのだろうか?)

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 Beautiful Loveはジャズの楽曲です。

 ジャズは、19世紀の後半にアメリカ南部の黒人によって作られ、20世紀の初頭にニューオリンズ(アメリカ南部)の近辺で生まれた音楽です。

 しかしながら、”ジャズ”という言葉が人々に浸透するまでには多くの歳月を経て、記録上、”ジャズ”という言葉は、1913年のサンフランシスコの新聞記事が始まりと言われています。

 ジャズには「スタンダード・ナンバー」と呼ばれるものがあります。

 それは50年以上前に作られながら、今でも人々に感動を与え続けている曲の数々です。対象となる分野は、ミュージカルの楽曲、ポピュラーソング、映画音楽など様々で、多くのミュージシャンによってカバーされています。

 Beautiful Loveは1931年に生まれた曲でスタンダード・ナンバーの一つに数えられています。この曲は記録上のジャズの始まりからすると、初期スタンダードナンバーと言えるでしょう。

 

 巷にはジャズスタンダード曲集なる、「歌本」が出回っております。

 それによると世の中で「スタンダード・ナンバー」と認知されている楽曲は200曲以上あることが分かります。
 たいがい、これらの楽曲に使われるコードの数は10個以上有るものですが、
 Beautiful Loveで使われているコードはたったの6個です。そのため、演奏者にとっては、頭の中がコードで多忙にはならないので取っ付き易い曲ではないでしょうか。

 

 筆者がオススメするのは、エディヒギンズ・トリオ(Eddie Higgins Trio)。

 曲中で微小な変動はありますが、彼らのこの曲のテンポは、おおむね230 BPM 以上の速度です。速度標語で最速を示すPrestissimo(プレスティッシモ)が約192~208 BPM(※)で『極めて速い』レベルなので、230 BPMは『超速い』レベルと言っても過言ではありません。そこにも恋のスリルが表れているのでしょうか。

※ BPM:Beat Per Minuteの略。1分間に4分音符を刻む個数を表します。230 BPM は 1分間に4分音符を230個刻みます。

 それでは最後に、先ほど挙げたエディヒギンズ・トリオ(Eddie Higgins Trio)による『Beautiful Love』をご紹介します。

 

 冒頭でもお伝えした通り、Beautiful love の詳しい解説は、拙著『洋楽の教養12』でも紹介しております。興味がございましたら、是非ご覧くださいませ。

ほな、おおきに。

Kikujiro

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